映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「7月の物語」感想(ツイッターより再掲)

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7月の物語、みた。超絶大傑作。短い夏のバカンスにふたりの女は友情を育み、ハンネはほろ苦い挫折とともにフランスを去る。退屈な日常やしがらみと裏表の休日。予期せぬ出会いと交感、他愛ないやり取りから静かに動いていく物語。バカな男たちを笑っていると、突然現実が転がり込んでくる。複雑な味。

第一部は昨日たまたま見た「緑の光線」のよう。男を漁る友人と、消極的な主人公。はじめ相手の名前すらおぼつかなかったふたりが、大したことは起こらないけれど、徐々に距離を詰めていく。街灯の下を一緒に歩き、電車では隣どうし(そういえば冒頭では向かい合わせだった)になる。かすかな変化。

第二部のイタリア男がめちゃくちゃ笑える。冒頭のマスターベーションから始まり、庭先での激昂、ベランダやベッド脇での会話にいたるまで。そして共用スペースでの食事とダンスにユートピア的な空気が広がる。そこになだれ込む現実。早朝の空気もすばらしい。細かな所作や動線に惹かれるものを感じた。