映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「二ノ国」感想

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二ノ国、みた。現実世界の生死とリンクした異世界二ノ国での冒険を描く。ユウとハル、コトナ=アーシャ姫。「似た者同士」の親友の友情と対立、手の届かないあの人への恋心、ここではないどこかで活躍したいというイノセントな欲求はツボ。良作。ただ世界観に既視感は拭えず、アニメ的演出は壊滅的。

本作で描かれているのは子どもっぽい願望なのかもしれない。しかし、それゆえに語り口の拙さ、性急さすら感じるキャラクターの行動原理も、愛おしく思えてくる。ファンタジーなのにあまりに殺風景な景色、記号的なモブキャラには辟易するが…それでも俺の心の中に入り込んでくるものはたしかにあった。

「ポッピンQ」といい「バースデー・ワンダーランド」といい、いまどきプリキュアのような「しゃべるぬいぐるみ」的マスコットをとりあえず置いておくみたいな設定は、ことごとくスベっている気がするのだけど。

脚本がクソでも面白い映画なんていくらでもある。完全にネットでは「面白がって叩いていい映画」扱いされてしまい、非常に残念だが、たしかにアニメーションはパワー不足。ゲーム画面っぽさはあるが、キャラデザ含め、まったく新しい驚きがない。

冒頭からこの世界を好きになれない、ずっと入り込めないから設定の雑さが気になってしまい、減点方式のアラ探しの鑑賞体験になってしまうのだと思う。しかし、愛する人のため、本当に大事な物のためにすべてを捨てて戦おうとする人の姿は、いつなん時も美しいと思う。だからこの映画は好き。