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さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「工作 黒金星と呼ばれた男」感想

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工作 黒金星と呼ばれた男、超絶大傑作。北朝鮮に潜伏するスパイを描く、実話に着想を得たスリラー。命を賭けた緊迫の駆け引きと、徐々に浮かび上がる祖国の真の姿。鍵を握るリ所長とパクの、国境や立場を超えた信頼関係。巨大な力に翻弄されながら、それでも未来を繋ぎとめようとする姿に心打たれる。

「インサイダーズ/内部者たち」や「鋼鉄の雨」でも描かれてきた、複雑に利害の絡み合う対立と、融和への希望。「違った形で出会っていたら、生涯の友になれたかもしれない」という悔しさ。でも、たしかにそう思えた瞬間は存在したのだ。こねくり回して、ねじくれて。永遠に交わらないかもしれない。

それでも未来を信じる。だって私たちは同胞だから、血の通った人間どうしだから。単純に「敵/味方」では割り切れない複雑な現実に、ねばり強く、しつこく、向き合っていく。国境を越えた、ビジネスパートナーでも、友情でもない、特別な関係を描く「工作」は、ある種の「ロマンス」映画でもある。