映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「ドロステのはてで僕ら」感想

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ドロステのはてで僕ら、みた。自宅のテレビと下の階の喫茶店のテレビが〈2分間の時差〉で繋がっていることに気づいたオーナーのカトウは…。ちょっと先の未来が見えるテレビを巡る〈すこし・ふしぎ〉な騒動を描く。少々複雑だがこのこじんまりしたスケール感がたまらない。ひたすら楽しい作品。傑作!

トンチの効いた設定とすべて雑居ビルの中で完結する(1階と2階の行ったり来たりが楽しい)コンパクトさ、それをさらりとまとめてしまう脚本もすごいのだけど、やっぱりこれはキャラクターの映画だと思う。喫茶店のオーナーと店員、それから続々集まってくる常連たち。この空間の住人が愛おしい。

演劇は全然知らないけど、このシチュエーションコメディ的な設計と、長回しの中の丁々発止のやり取りは舞台っぽい。彼らと小さな冒険を共にしているような気分になる。これがすごくワクワクする。喫茶店ワンルームの行き来にアトラクション的楽しみがある。このスケール感がたまらないのだ。

なんというかあの人たちにまた会いたくなってくるんですよねえ。その先の物語も見たくなる。ほとんど前情報入れてなかったので、朝倉あきが出てきたのは嬉しくて飛び上がりました。巻き込まれつつも飲み込み早いあたり可笑しい。カトウ=土佐和成との微妙な距離感、空気感がまた微笑ましい。

カメラを止めるな!」との類似性も指摘されるが、いちばんの肝はこのアットホーム感といい意味でのハンドメイド感だろう。状況が状況だけに難しいが、できればリピートしたくなる〈空気〉がある。「カトウたちにまた会いに行こう」みたいな。