映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「なぜ君は総理大臣になれないのか」感想

f:id:StarSpangledMan:20200711175714j:image

なぜ君は総理大臣になれないのか、みた。代議士・小川淳也の17年を追うドキュメンタリー。泥水をすすりながら理想を求め続ける彼の政治家人生は挫折の連続だ。「政治家に向いてないのでは」と自問自答し、声を枯らして選挙運動をする姿に胸が熱くなる。日本はなぜ変われないのか?の答えがここにある。

妻や両親は彼が政治家を辞めたいと言っても止めないとこぼす。それだけ政治家の家族とは大変なのだろう。2017年衆議院選挙の活動を追う中盤は見応えがあった。「お父さんのポスターがそこら中にあるのが嫌だった」と笑いながら、全力でサポートする二人の娘。その必死な姿に胸を締め付けられる。

これを見ると政治家たちの万歳三唱も感じ方が変わってくる。これだけ泥臭く戦っている仲間たちがいる。テレビの画面越しに見るあの熱気は本物だったのだと知る。小川淳也は政界で勝ち抜くにはピュアすぎるのかもしれない。けれど、無所属を選びきれないあたり良くも悪くも〈普通の人〉なのだ。

そう、小川淳也という人は〈普通の人〉なのである。いわゆる〈政治家〉ではない。だからこそ彼の戦いに希望も感じれば、やっぱりダメなのかもしれないと絶望もある。しかし、小川は諦めない。死ぬまで戦うと宣言している。だからまだ、終わりじゃないと信じたくなる。いまのニッポンを映す傑作でした。