映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「青くて痛くて脆い」感想

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青くて痛くて脆い、みた。田端のこと突き放して見たかったし、ドン引きした!って言いたかったけど、残念ながらあの気持ち分かってしまいました。彼のいじましさ、俺にもある。SNSと冷笑は現代日本の青春映画と切っても切り離せないテーマになりつつある。しかし、いまひとつ突き抜けない映画だった。

吉沢亮はその端正な顔立ちに反して陰湿な男の演技がうまい。杉咲花は後半跳ねそうで跳ねなかった。好きな女優だけどこの映画ではイマイチだったと思う。講堂の場面はさすがだったけど、もっとヒリヒリしたかったな〜。ビスタサイズで顔のアップやられると圧迫感が…。ここは家のテレビじゃねえよと。

岡山天音は安定のヘナヘナ大学生。マジで大好き。いつまでも甘ったれた男でいてくれ。松本穂香現代っ子感も最高。あとふわっとした雰囲気よ。いい匂いのハンドクリーム使ってそう。森七菜のロックガールは言わずもがな。リラックスした空気を作り出すのがうまい。それでいて切ない、緊迫感も出せる。

茅島みずきの不器用さも最高。駅までの帰り道の反省会が好き。光石研はキモかった。脇汗ビシャビシャで臭そうなのがよかった。柄本佑は何を演じても色気がだだ漏れ。清水尋也は「そうは言っても大学生」でよかった。キラキラしてても所詮…ですよ。バカにしてるわけでないけど。その軽さ、幼さが良い。

冷笑とSNS。「何者」に始まり「#ハンド全力」、それから本作。ドラマでいえば野木亜紀子作品。他にもいろいろ、数え切れないほどある。簡単に増幅される負の力に押し潰されそうになる、それが子どもでもアクセスできてしまうのだから大変だ。しかし、不謹慎だがそこにこそドラマが生まれる。

杉咲花のあのセリフはほんとうに強烈ですよね。たぶん多く人の胸に突き刺さったと思う。けど、見ている人が本気で傷つくには少々主人公が暴走しすぎている。あそこは自分と田端が同化しないと。ああ、これは俺の物語だと言い切ることができない。実際あの場面以降、彼はどんどん遠くへ行ってしまった。

バーベキューの場面がピークだった。あそこから先はなんとも。刺さりそうで刺さらない。寸止め映画。ただ映画館を出たあと確実に胸にしこりは残った。感想おしまい。