映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「詩人の恋」感想

f:id:StarSpangledMan:20201115165155j:image

詩人の恋、みた。妻と妊活に励む売れない中年詩人・テッキはある日を境にドーナツ屋の青年に惹かれ始め…。うーん、人を好きになるって勝手なことなのだなあ。「詩人とは人の代わりに悲しんで泣いてあげる人」とヤンは言う。彼の情けなくも優しい猫背に、残酷なまでに純粋な頑固さを見る。良作でした。

テッキのセユニに対する想いをなかなか一言では掴み取ることができない。妻との生活に感じる疲れ、現場に対する不満、哀れな青年への親切心…しかし恋というものに理由はないのかもしれない。出会うべき時に出会った。ただそれだけなのだと言われても納得する。2時間描かれるのはその感情の後処理だ。

なぜテッキはセユニが好きなのか?はこの際問題ではない。妻もいて、これから子も生まれるというタイミングで、未来ある青年をこちらに引き込むのか、共に過ごす覚悟はあるのかという話。セユニは生意気だが弱さも垣間見せ、たしかにそばにいたいと思わせる。奥さんはちょっとかわいそうだなあ。

当たり前だけどガンスンは悪者ではないですから。多少無神経で、テッキとの上下関係に歪さを感じなくはないけれど。おそらくこの問題はテッキの性格にあるのだろう。チェジュ島のロケーションは非常に魅力的。正直お話は可もなく不可もなくかと思ったが、ラストシーンで心掴まれた。これだよこれ!