「ザ・ライダー」感想
ザ・ライダー、みた。サウスダコタに生きる現代のカウボーイの物語。事故で頭に大怪我を負ってもなお諦めきれないロデオへの想い。人と馬しかいないサウスダコタの静かな平原、そして、まるで日が昇る前のような暗さの空。葛藤するブレイディの心のうちを反映しているかのようだ。美しい映画だった。
いやぁ、しかし、この映画の仕掛けには驚いた。答えを知って見るとなるほどと思うところも多い。世界にはいまだにこのような暮らしをしている人がいるという事実。けっして音楽で盛り上げることもなく、淡々とドキュメンタリータッチで男の生き様を追いかけていく。
冒険からは降りられない。カウボーイの世界に居たいならば、みんなの期待に応えるならば、いつかは現役に戻りたい。「男社会」の問題にもなり得るテーマを、アクチュアルな一個人の「居場所」と「生きがい」の葛藤へと落とし込んでいく。ケガをした馬は元気でも殺される。そんな世界の話だ。