「アオラレ」感想
アオラレ、みた。煽り運転映画といえばスピルバーグの「激突!」だけど、こちらは世の中への憎悪をたぎらせる凶悪犯。アバンがない方がレイチェル目線の得体の知れなさをこちらも体感できたのではないか。余計に感じてしまった。ラッセル・クロウの車だけマリカのスター状態だったが、程よく楽しめる。
主人公のレイチェルもまたしっかりした人物とはいえず、寝坊して美容師をクビになったり、強引な割り込み運転をしたりと、100%の善人ではない。だからこそ、イライラがエスカレートして「男」と口論になってしまうのも、わからなくはない。それにしても、もっと対処の仕方はあったはずだが笑
オープニングのニュース映像に始まり(まあまあ長い上にずっと同じことを言っている)、序盤のキーとなる「スマホ」の写し方や、終盤の追走劇など、とにかく話の展開の鍵になるアイテムの描き方がくどいと思った。安っぽいホラー映画見てるみたい。そんなにコッテリ映さなくてもわかるよっていう。
舐められたくない、相手を屈服させたい、俺が正しいと判らせてやる…という「男」の歪んだ願望と精神。程度の差こそあれ、酔っ払って気が大きくなって相手を威嚇するサラリーマンのおっさんなんて、だいたい同じマインドなんじゃないだろうか。ツイッターでリプ合戦してるのも似たようなもの?
それにしたって「男」はいくらなんでもやりすぎだろってレベルで執拗に追い回す。関係ない人間も殺しにかかる。ちょっと笑っちゃった。ラッセル・クロウは同情無用のこの身勝手な男を、見事に演じた。会話が成立しそうでしない感じ。相手にとって何がいちばん嫌なのかだけはよくわかっている。