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さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「ふきげんな過去」感想:二階堂ふみはモリー・リングウォルドだ

こんにちは。じゅぺです。

今回は「ふきげんな過去」について書きたいと思います。

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主人公の果子を演じるのは二階堂ふみ。彼女の家に転がり込んでくる死んだはずの爆弾魔の叔母(なんじゃそりゃ)を小泉今日子が演じています。

この設定を見ればわかる通り、「ふきげんな過去」はそれなりにとんがった映画です。特にこれといってやることもない夏休み、じめっとして蒸しっぽい夏の気候と終わりのない退屈さにイライラする不機嫌な果子の毎日を独特なタッチで捉えた作品になっています。

しかし、そんな彼女の平凡な夏休みに、たった一つ異物が入り込みます。数年前に爆発事故で死んだと思われていた叔母のみきちゃんです。全部が想定内に収まってしまう日常にある種達観すらしていた果子です、こんな「想定外」の刺激的なことが身近に起こってさぞ驚くだろうと思いきや、案外あっさりした反応を示します。むしろ自分のテリトリーに侵入してきた叔母を鬱陶しがるのです。意外とそんなものなのでしょうか。こういう、あえてドラマティックな展開になりそうところで調子を外し、最初から最後までなにか変化が起こりそうで起こらないもどかしさをたたえているのが、この映画の面白いところですね。もはや作中でもセルフツッコミをしていて、爆弾魔の叔母がじつは本当の母親であることを果子に告白する場面では、「知ってた」とそっけないリアクションの娘に、叔母が「そこはもっと驚くところでしょ!」とつっこむシーンもあります。

そんな感じで終始まわりの大人にツンツンし、不機嫌をまき散らしている果子。二階堂ふみはハマり役だと思います。彼女、なんとなく顔の造形がはじめからふてくされてるんですよ。反抗的な顔つきというか。声にも上ずったような響きにトゲトゲしさがあります。じゃあ二階堂ふみがいつもそのような役を演じているかというとそうでもないので、たいした根拠もないのですが。こんなことを考えてふと思い出したのが、モリー・リングウォルドです。

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80年代アメリカ青春映画のアイコン的存在で、「プリティ・イン・ピンク」や「ブレックファスト・クラブ」が代表作です。彼女が素晴らしいのは、そのふくれっ面です。ぽてっとしたくちびるをつねに半開きにして、なにやら不満言いたげな表情をしています。もともとこういう顔の作りだと思うのですが、「ヤングアダルトU.S.A.」でコラムニストの山崎まどかさんが言っているように、これはもう天性のものなんですよね。僕は「ふきげんな過去」の二階堂ふみに、「ブレックファスト・クラブ」のモリー・リングウォルドを感じました。我ながら珍説かもなあと思うのですが、誰かひとりぐらい賛同者がいてもいいよなと勝手に期待しています。