映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「セトウツミ」感想:無限に広がる日常

こんにちは。じゅぺです。

今回は「セトウツミ」について。

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上映時間は1時間10分ちょっとでしょうか。そのあいだずっと川辺に座る高校生二人の会話です。学校の教室で後ろの席に座ってる同級生のおしゃべりを盗み聞きするような感覚。二人のことをすでに「知っている」と錯覚してしまう、そんな親しみやすさがあります。コントのようなテンポの軽妙な掛け合いが心地よいです。

将来のことについてとか、恋愛についてとか、深い話をしているようでいて、やっぱり大したことは話していなくて、下らない内容だったりする。息ぴったりで似た者どうしなのだけど、重ならない部分もあるし、けっきょく他人は他人なんですよね。過度にべったりウェットな感じもしない、かと言って突き放しもしない、この距離感が最高です。意外と長く続く友だちほど、こういう付き合い方しますよね。

冒頭からマクガフィン的に働く中条あやみの存在感もここに書き残しておくべきでしょう。ストーリー的にも面白い構成で、最初に彼女の名前が出てくるので、そのあとの会話でもずーっと引っかかってくるんですよね、彼女のことが。そして最後に彼女の目線で物語はクローズする。ある意味視聴者的な立場で。やっぱり側から見ればあの二人はちょっと変です。そして愛おしい。もっとあの会話を聞いていたい。映画の外にも無限に世界が広がっていく、すごく「日常」に寄り添った作品なんじゃないでしょうか。山下敦弘監督「もらとりあむタマ子」やジム・ジャームッシュ監督「ストレンジャー・ザン・パラダイス」を思い出しました。あとちょっとだけ僕の大好きなノーラ・エフロン脚本「恋人たちの予感」も。ああ、あの映画の登場人物は、いまごろどんな人生を歩んでいるんだろうな。