映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「メリー・ポピンズ リターンズ」感想:多幸感溢れるミュージカルを楽しむ

こんにちは。じゅぺです。

ミュージカル映画ブームの昨今、あの伝説的映画の続編が製作されました。「メリー・ポピンズ リターンズ」です。

f:id:StarSpangledMan:20190202135807j:image

メリー・ポピンズ リターンズ」は、借金に苦しむバンクス家の元に、ふたたびメリー・ポピンズがやって来て、毎日をたのしく過ごすヒントを与えてくれる…というお話。

 

クラシカルなミュージカルに浸る至福の時間

根っこの部分はほとんど前作と変わらないと思います。大人って頭で考えがち、時に考えすぎるぐらいです。だからメリー・ポピンズは子どもたちとの「冒険」を通して、理屈なんか捨てて「楽しむ」ことも大事だよねと問いかけるわけです。とにかく2時間、夢の世界に浸りましょうというディズニーらしいサービス精神に溢れていました。

この映画は一にも二にも歌と音楽だと思います。最高にチャーミングでクラシカルなレヴューに身も心も溶けました。華やかな空想で日々を彩り、困難を乗り越える。「メリー・ポピンズ」のミュージカルは子どもの心を忘れない者たちへの祝福なのです。

overture風で始まるオープニングからすでに原典への目配せになっていますし、お風呂の中に広がる無限の海、2Dアニメーションの世界のしゃべる動物やひたすら賑やかなショー、迷子を先導する点灯夫のダンス。子どもの頃に見た夢のような映像は前作よりも刺激的です。僕はとくに陶磁器の中の世界で繰り広げられるレヴューに感動しましたね。ずっと見ていたいな、終わってほしくないなと純粋に思いました。そのあとの「101匹わんちゃん」を彷彿とさせる逃避行劇も見事でした。風船飛び交うクライマックスの祝祭感も素敵で、現代の技術あってこその奥行きと壮大さは作品の締めにふさわしかった。「ラ・ラ・ランド」以上に復古的で視覚的なよろこびに張り切っていて、ひさびさに「ミュージカル映画」を映画館で観られたことが嬉しかったです。丁度僕が好きなフレッド・アステアジーン・ケリーの作品のツボに近い気がします。

 

現代に「メリー・ポピンズ」を作る意味

ストーリー的にはとくに注目すべき点もなく、むしろミュージカルシーンに力を注ぎすぎて破綻気味です。唯一いいな〜と思ったのは、映画後半にアナベルとジョンが落ち込む父マイケルを歌で励ます場面。これまで歌をうたうのは主にメリー・ポピンズとジャックで、子どもたちは脇でキャッキャと喜んでるだけなのですが、ここにきて父のために初めて歌を披露するわけです。メリー・ポピンズやジャックたちといる中で気づいたことを今度は彼らがお父さんに伝えてあげる番なんだなと。僕的にはとても好みのお話の盛り上げ方でした。

一方、「プーと大人になった僕」のようにこのお話をあえて現代に「メリー・ポピンズ」としてやるべきか?という問いに対する答えにはなっていないと思いました。ノスタルジーに浸ることはできても、それ以上の効果はないというか。ただ昔を懐かしむなら原典で事足りるでしょう。メロディーのキャッチーさも1作目には遠く及びません(「スーパーカリフラジリスティック〜」に頼らなかったのは正解だと思います)。いかにも最近のディズニーらしい商業主義的な企画だと思います。近いうちに「アラジン」や「ダンボ」も実写化するようです。「ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー」のようにコンテンツの寿命を縮めないといいのですが…。