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「白雪姫」感想:すべての始まりにして頂点

こんにちは。じゅぺです。

今回はディズニー・プリンセスと言えば真っ先に名前が挙がるすべての原点、「白雪姫」について。

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「白雪姫」のあらすじはみなさんご存知でしょう。白馬の王子様に恋した白雪姫が、彼女の美を妬む魔女に命を狙われ、身を隠した森で愉快な7人の小人と出会い…というお話。子どもの頃は家や幼稚園で何回も見ました。しかし、意外にも大人になるとディズニー・プリンセスに触れる機会ってほとんどありません。少なくとも僕にはありませんでした。内容はある程度知っているから、改めて見返そうという気分にはなかなかならないんですね。

しかし、最近「シュガー・ラッシュ:オンライン」を見たことをきっかけに、ディズニー・プリンセスを語るなら過去の作品を復習しなければという機運が自分の中で高まっています。ということで、今回、十何年ぶりに「白雪姫」を真剣に見ることにしました。

結論から言うと、やっぱり面白かったです!展開はすべて知っているし、しあわせなラストを迎えることはわかりきっているのに、なんども新鮮な驚きがあり、初めて見たかのような感動がありました。

鹿や小鳥が軽やかに舞い、小人たちが楽しそうに歌をうたう度に心が躍ります。白雪姫が深い森に入ればその恐ろしさに驚き、彼女の「亡骸」の横たわる金の棺に美しさにはうっとりしてしまいました。なんども聴いている「いつか王子様が」は流れるだけで鳥肌がたつのです。本物はいつまでも輝きを失わないのだと改めて気づかされました。

好きだったシーンを順を追って具体的にあげていきましょう。まず、この映画は掴みがとてもいいんですよね。たとえば、井戸に波打つ白雪姫の顔の表現!愛を求める孤独な少女の心情が端的に伝わってきます。そして水の反射や鏡といったモチーフは、その後のディズニー・プリンセス映画に代々引き継がれることになります。ディズニー最新作「シュガー・ラッシュ:オンライン」でも刺激的な世界に憧れるヴァネロペの背中を押す、非常に重要な役割を果たしていました。原点はやはり「白雪姫」なのです。

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また、白雪姫が暗い森に迷い込む場面では、垂れ下がる枝や葉が魔物の顔に見えるシーンがあるのですが、これもとても良かったですね。たしかに子どもの頃、暗い場所で似たような経験をした記憶がありす。そこら中に幽霊を感じていた気がするのです。子どもって、大人には見えないものが見えるんですよ。もしかしたら、子どもにしかわからない別世界への入り方があるんじゃないかって思ったりもします。ここは純度の高い「童話的」描写になっていましたね。

白雪姫を小動物が囲ってあわただしくお掃除をしたり、料理のお手伝いをするシーンも愛らしいです。デフォルメが素敵。そしてたくさんキャラクターがいるのに見づらくない。配色やポジションにも相当綿密な計算をしていると思いました。ちなみにこちらの場面はドリーム・ワークス制作の「シュレック」シリーズや本家ディズニー・スタジオの作品「魔法にかけられて」でかなり露悪的にパロディされています。こちらも必見です笑

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小人も7人それぞれに表情や動きの違いがあって楽しかったですね。細かいディテールにうなります。実際のところ、小人たちのキャラがめちゃくちゃ立っているから、相対的に白雪姫と王子様は中身が薄く見えてしまいますね。じっさい、白雪姫は非常に受け身で控えめな性格をしている上に、まわりの助言もさっぱり聞かずに魔女に騙されてしまったりするので、主人公としての魅力はイマイチ欠けていると思います。特に最近のディズニー・プリンセスのキャラ造形の緻密さに慣れていると、物足りなさを感じるかもしれません。

クライマックスの小人と魔女の戦いはあまり記憶にはなかったのですが、たいへん面白かったです。思わずハラハラドキドキしてしまいました。きっと子どもの頃の自分も同じように楽しんだのだろうと思います。

そして、毒林檎をかじって倒れてしまった白雪姫と彼女を入れた金の棺を見たとき、悲しみよりも「美しい」という感動が先に来ました。キラキラと光って、神秘的なオーラを放っています。まるでのちに彼女に訪れる幸せを祝っているかのようです。そして、最後に流れるのは主題歌の「いつか王子様が」。聞くたびに、反射的に涙が流れそうになります。音楽が映画にもたらす力って計り知れないなと思いました。本作は「いつか王子様が」あってこその作品と言えるでしょうね。

とりとめのないレビューになってしまいましたが、十数年ぶりにみて確信したのは、「白雪姫」はディズニー作品のすべての始まりにして頂点であると言っても過言ではないということです。鑑賞後の気分は乙女!やっぱり、夢を見させてこそ、ディズニー・プリンセスだなと思いました。次は「眠れる森の美女」や「リトル・マーメイド」あたりを見たいですね。