映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「由宇子の天秤」感想

由宇子の天秤、観た。いじめ事件を追うドキュメンタリー監督の由宇子は、私生活で信念をゆるがす「事件」に直面し…。並走するふたつの「事件」をさまざまな角度から照らしてなお観客を混乱させない脚本さばき!だれも「観察者」ではいられない。真実は存在し…

「TOVE トーベ」感想

TOVE トーベ、観た。「ムーミン」を生んだトーベ・ヤンソンの恋と創作を描く。彼女はじぶんが偉大な作家になることを知らない。はじめは画家を目指していたこと、親の抑圧や恋人への嫉妬に苦しみながらあの世界観をつくりあげたこと。すべて初めて知ったけど…

「美しき結婚」感想

美しき結婚、観た。「私、結婚する!」と宣言してから好きになる相手をさがすサビーヌ。いや〜、絶対友だちになりたくないな…と思いつつ、カーキ色のクラシックカーを乗り回し、猪突猛進で迷惑かけまくる彼女から目が離せない。胸かきむしりたくなる痛々しさ…

「護られなかった者たちへ」感想

護られなかった者たちへ、とりあえずの感想。最後の10分で上映止まっちゃったけど、ほぼ締めのお茶漬けモードだったので。震災と疑似家族の切り口は、導入からほぼそのまま「岬のマヨイガ」でびっくりしたが、こちらは生活保護がテーマ。自己責任社会の矛盾…

「ロゼッタ」感想

ロゼッタ、観た。アル中の母とトレーラーハウスに暮らす少女を描く。ダルデンヌ兄弟がパルム・ドールを勝ち取った作品。ガツガツと歩くロゼッタの背中を追う手持ちカメラの撮影がとにかくすばらしい。戦争映画か自然ドキュメンタリーのよう。ラストカットの…

「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」感想

007 ノー・タイム・トゥ・ダイ、観た。英国の斜陽とジェームズ・ボンドというキャラクターの時代性に向き合ってきたシリーズ。なるほど、ダニエル・クレイグの花道としてこれ以上ない結論だ。スタイリッシュさとバカバカしさの行き来が絶妙で、やや長くても…

「イゴールの約束」感想

イゴールの約束、観た。「その手に触れるまで」のダルデンヌ兄弟。原点はここにあったのだと気づく。不法移民のアパートを仕切る強権的な父とその息子イゴール。最悪な環境で「善い選択」をするってすごく勇気が要る。ラストの沈黙は赦しなのか、それとも怒…

「飛行士の妻」感想

飛行士の妻、観た。はじめてのエリック・ロメール。好きな女に粘着する青年が、街中で見かけた彼女の元恋人を尾けまわす…。このフランソワという男がなかなか酷い奴だ。公園で出会った、彼をからかう女の子との会話劇が白眉。これが面白すぎて、終盤は「他人…

「MINAMATA ミナマタ」感想

MINAMATA ミナマタ、観た。心身に傷を負った戦争写真家が、再起をかけて水俣病を取材する。何度伝えても「戦争」はなくならない、カメラの前の被写体は苦しみ、死んでゆく。無意味のように思えても、繰り返される悲劇の前に立ち上がる。これを受け取ってあな…

「クーリエ 最高機密の運び屋」感想

クーリエ 最高機密の運び屋、観た。おもしろかった!キューバ危機前夜のソ連を舞台に、内通者の政府高官と核戦争回避に奔走したセールスマンの実話を描く。どんなに壮大な歴史的事件もその裏では一人ひとりの信念や、時にウェットな人間模様が渦巻いていたの…

「落穂拾い」感想

落穂拾い、観た。マルシェに捨てられた食材を拾うホームレスに着想を得て、デジタルカメラ片手に「現代の落穂拾い」を探す旅に出るドキュメンタリー。アニエス・ヴァルダのあらゆる被写体に対する好奇心、独特のユーモアでもって飽食と貧困の世界のグロテス…

「ベルリン・天使の詩」感想

ベルリン・天使の詩、観た。歴史がはじまる前からベルリンを見守ってきた天使が、永遠の命を捨てて人間の世界に降りたいと願いはじめる…。壁に分断され、戦争の傷痕生々しいベルリン。モノクロの静謐な質感が、カラー撮影の温かい空気に満たされる。その転換…

「総理の夫」感想

総理の夫、観た。最初から最後までなにもせず、ただ動揺してわめくだけの主人公にうんざりしてしまった。思考停止した中年の醜態を二時間見て、何を感じろというのだ。昭恵への当てつけだというならまだわかる。しかし、本来は昨今の政治への風刺だったであ…

「マイ・ダディ」感想

マイ・ダディ、観た。病に侵された娘を助けるために奔走する牧師を描く。ムロツヨシ初出演作。タイトル以外の情報を入れずに観たけど、大いに感動してしまった。とても丁寧に撮られていると思う。一男でもひかりでもなく、とある人物が嗚咽する場面にグッと…

「マスカレード・ナイト」感想

マスカレード・ナイト、観た。人を疑う刑事と人を信じるホテルマンがふたたびタッグを組む。肝心の仮面舞踏会の絵面がチープでガッカリしたが、足りないところを補い合うふたりの奮闘は楽しい。キムタクもおじさんになったなあと思いつつ、年相応の色気と若…

「スイング・ステート」感想

スイング・ステート、観た。さびれた田舎の町長選にワシントンの選挙参謀が乗り込み、民主党vs共和党の代理戦争へと発展していく。テーマをとあるキャラに語らせてしまうので品がいいとは思わなかったが、十分に楽しんだ。参院広島に於ける菅vs岸田の金にま…

「アナザーラウンド」感想

アナザーラウンド、観た。冴えない中年教師が、職場の仲間といっしょに「ほろ酔いで仕事をすればうまくいくのではないか」と実験をはじめる…。たしかに考えたことあるけど、その年でホントにやるなよ!って思うけど、バカバカしさとおじさんの切実さのバラン…

「アイダよ、何処へ?」感想

「アイダよ、何処へ?」観た。1995年のボスニアで起きた「スレブニツァの虐殺」を現地人通訳の視点から描く。これからどうなるか分からない。なのに、死は確実に近づいている。国連から見捨てられた人々の恐怖が生々しく伝わってくる。この事件のことを知れ…

Eテレ「私の欠片(かけら)と、東京の断片」

岸政彦の「生活史」プロジェクトを追った「私の欠片(かけら)と、東京の断片」も観たけど、とても興味深かったですね。彼のエッセイ「断片的なものの社会学」がわりと好きなので、パーソナルヒストリーをあるがままに尊重する考え方に、なぜか安らぎを覚えた…

ノーナレ「お父さんのねぶたがいちばん好き」(NHKドキュメンタリー)

NHKのノーナレ「お父さんのねぶたがいちばん好き」がすばらしかった!最近映画館で観たどの映画よりも好き。ねぶたの町で生まれ育った10歳の女の子を追うドキュメンタリー。コロナ禍で二度目の中止を迎えたねぶた祭り。それでも希望の灯は消えないんだと確信…

「レミニセンス」感想

レミニセンス、観た。水没したマイアミのビジュアルがすばらしい。謎めいた美女をめぐる物語はどこかレトロで、あまり新鮮味はないのだけど、たまにはいいよね。ヒュー・ジャックマンとレベッカ・ファーガソンの座組は豪華だが、変にノーラン感を出さず、低…

「パリ、テキサス」感想

「パリ、テキサス」観た。荒野をさすらう記憶喪失の男・トラヴィス。弟に連れられ、息子と再会するが…。まっさらな砂漠が解放的で、また、空っぽの寂しさもある。所狭しと高層ビルの立ち並ぶヒューストンとは対照的だ。トラヴィスにはもう「漂う」選択しか残…

「ミステリー・トレイン」感想

ミステリー・トレイン、観た。エルヴィス・プレスリーの聖地メンフィスを舞台に、とあるホテルですれ違う三組を描く。銃声のくだりで引っ張って引っ張って…それかい!ってなるラストカット。「そんなもんでしょ?」なスカし方に、ジャームッシュの洒落っ気を…

「コロンバス」感想

コロンバス、観た。去年劇場で観てたらまちがいなくベストテンに入れてました。モダニズム建築の街で、人生の岐路に立った男女が邂逅する。時間の流れを感じさせない、ガラスとコンクリートの無機質な建物を温かみのある色合いで捉えた映像美。かえってふた…

「モンタナの目撃者」感想

モンタナの目撃者、観た。トラウマを抱えた森林消防員と、とある秘密を知り、殺し屋に狙われる少年。てっきりポリティカルスリラー系かと思いきや、大自然の脅威を描くサバイバルサスペンスだった。それなら「オンリー・ザ・ブレイブ」をもう一回観ればいい…

「サマーフィルムにのって」感想

サマーフィルムにのって、観た。すばらしい!伊藤万理華がスクリーンを縦横無尽に駆けまわる。観客が彼女の存在を知り、好きになる。それだけで映画としての役割を九割果たしていると言っていい。不機嫌そうに背中丸めて歩いてたハダシが、全身のエネルギー…

「ラ・ポワント・クールト」感想

ラ・ポワント・クールト、観た。アニエス・ヴァルダはいまの俺と同じ26歳のときに故郷でこの映画を撮ったらしい。ヌーヴェル・ヴァーグの先駆け。ベルイマンにも影響を与えたらしい。勿体つけた会話劇はともかく、映っちゃいけないものが見えそうな不穏さが…

「ダゲール街の人々」感想

ダゲール街の人々、観た。パリ14区の生活をスケッチしたアニエス・ヴァルダによるドキュメンタリー。モンタージュで紡がれる職人たちの手さばきがとにかく美しい!パンをこねる手、仔羊のモモを切る包丁の動き、お店のシャッターを閉じる腕…。霊的な厳かさす…

「恋する惑星」感想

恋する惑星、観た。香港の街角ですれ違う男女の恋をカラフルに描く。じっとり汗が肌に張りつく湿度と、こだわりに溢れたキュートなファッションと、猥雑でパワフルな香港の街並みと。恋の魔法にかかったような高揚感が一本の映画に詰め込まれている。これは…

「正しい日 間違えた日」感想

正しい日 間違えた日、観た。同じ出会いから「うまくいかなかったルート」と「うまくいったルート」を前後半で描く。ホン・サンスは「次の朝は他人」でも同じことをやっていたが、本作の方がよりシンプルで面白かった。人生のIFはどこに潜んでいるかわからな…