映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「決戦は日曜日」感想

決戦は日曜日、観た。いやぁ〜、なかなかどぎつい風刺コメディだ。事なかれ主義の秘書と担ぎ上げられた二世議員の選挙戦を描く。あれもこれも見覚えのある光景。前半はコミカルだが、だんだんがんじがらめのシステムで固められた政治の世界のグロテスクさが…

「さがす」感想

さがす、観た。オンライン試写にて。「指名手配犯を見つけた」と言い残して姿を消した父。娘はその行方を探るが…。面白い!二転三転するストーリーから禍々しい真実が浮かび上がる。西成の雑多な空気感や、人の生き死にのあっけない描き方など、全体的にひん…

「男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎」感想

男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎、観た。松坂慶子がうっとりする美しさだ。関西弁もチャーミング。江戸っ子の寅さんが大阪に…というお話は面白いけど、基本的にいつも通りの話。振られた寅さんがそんな扱いは酷い、惨めだって怒るのは珍しい。笑って送り出す…

「スパイダーマン/ノー・ウェイ・ホーム」感想

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム、観た。ピーター・パーカーの宿命を描きつつ、しかし、真正面から「若さ」を見つめた映画だ。取り返しのつかない失敗にどう向き合うか。ドラえもん的に登場するストレンジ先生は答えじゃない。本当の答えは自分との対…

「99.9 刑事専門弁護士 THE MOVIE」感想

99.9 刑事専門弁護士 THE MOVIE、観た。劇場作品である必要はまったく感じないが、お正月の特番だと思えば大満足の内容。スキマなく埋め尽くされるギャグに粉飾されているが、なかなか陰惨な事件だ。明らかにモデルあるし。前日譚のスペシャルドラマは流し見…

「マクベス」感想

マクベス、観た。大傑作!シェイクスピアの戯曲をジョエル・コーエンが映画化。小心者のマクベスが暴君として破滅していく様を描く。ドイツ表現主義を踏襲したモダニズム的映像美、野心と恐怖で揺れ動くデンゼル・ワシントンの演技!クラシカルでありスタイ…

「ドント・ルック・アップ」感想

ドント・ルック・アップ、観た。半年後に隕石が落下して地球は滅亡する。そんな予測より選挙だと息巻く大統領、わけわからんチャリティーソングではしゃぐ歌手、阻止計画を乗っ取るテック企業…。ディザスター映画なのに描かれるのは「混乱」や「絶望」ではな…

「キングスマン:ファースト・エージェント」感想

キングスマン:ファースト・エージェント、観た。このシリーズの戯画的なおふざけの魅力が、史実を織り交ぜたことで中途半端になってしまった。血に塗れた近代英国への批判はいいが、だとしたら「世界史の裏で活躍するキングスマン」のユーモアって一体なん…

「志村けんとドリフの大爆笑物語」感想

志村けんとドリフの大爆笑物語、観た。期待に反して面白かった。踏み込んだ人間ドラマとまではいかないが、ドリフの歴史を知るには十分な内容。再現コントもたのしい。山田裕貴の器用さと遠藤憲一の役者としての懐の深さを実感。福田雄一演出はテレビドラマ…

「悪なき殺人」感想

悪なき殺人、観た。フランスの寒村でひとりの女性の遺体が見つかる。その裏には「偶然」の積み重ねがあり…。膨大な伏線の束のような映画だ。渇望の輪廻の物語と言ってもいい。しかし、「なるほどな〜」止まりだったかな。ひとりでも関心が持てる人物がいれば…

「ARASHI Anniversary Tour 5×20 FILM “Record of Memories”」感想

ARASHI Anniversary Tour 5×20 FILM “Record of Memories”、観た。松潤の「52000人みんな幸せにしてやるよ!」はウソじゃない。最初から最後までひとつも外さない演出。一般常識レベルでしか嵐の曲を知らない自分でも楽しめた。ほんとに幸せそうなお客さんの…

「偶然と想像」感想

偶然と想像、観た。「テキストと発話」という濱口竜介のテーマに、エリック・ロメールやホン・サンスのエッセンスが加わった。暴力的になだれ込んでくる想定外の現実。思い通りにいかないことをありのまま幸福として受け止める。第三話「もう一度」の余韻は…

「GUNDA/グンダ」感想

GUNDA/グンダ、観た。音楽もナレーションもない、農場に暮らす豚の親子を追ったドキュメンタリー。すやすやと寝息をたてる母と、騒がしくそのまわりを歩く子。ファーストカットから映画の着地点は見当がついてしまったのだが、これを観て何か感じろという企…

「おいしい給食 Season2」全話感想

おいしい給食 Season2、全話見た。いやぁ、おもしろかった。甘利田先生の給食愛はもはや狂人の域だが、転任先で再会した神野もパワーアップ。彼らを見守る学年主任の変化も好き。なにより配膳の時間の多幸感!みんなでごはん食べるってやっぱり楽しいんです…

「浅草キッド」感想

浅草キッド、観た。幻の浅草芸人・深見千三郎とビートたけしの師弟関係を描く。当時の浅草の風俗から、実在の人物の再現に至るまで完成度が高く、邦画ではなかなかお目にかかれない水準の伝記映画だ。こういう「市民ケーン」的な、大物になってから振り返る…

「ジャンヌ」感想

ジャンヌ、観た。救国の戦士が異端審問を経て、火刑に処されるまでを描く。リーズ・ルプラ・プリュドムの真っ直ぐな眼差し!史実では19歳だが、役者は当時10歳。屈強な兵士や皺だらけの司祭たちに囲まれるとその特異さが際立つ。物言う少女を「生意気」と見…

「ジャネット」感想

ジャネット、観た。のちにジャンヌ・ダルクと呼ばれる少女が神の声を聴き、戦争に旅立つまでを描く。まさかのヘヴィメタミュージカル!ジャネットがヘドバンする!修道女がチューチュートレインする!叔父さんがラップする!終始意味不明であるが、不思議に…

「パワー・オブ・ザ・ドッグ」感想

パワー・オブ・ザ・ドッグ、観た。粗暴な農園主・フィルと、その対極のフェミニンな少年・ピーターの接近が淡々と描かれるが、その裏ではロープのように何重にも入り組んだ「呪い」がある。「皮がない!」と涙目で癇癪をおこすフィルのなんと哀れなことか…。…

「フラ・フラダンス」感想

フラ・フラダンス、観た。震災から十年後のハワイアンズを舞台に、フラガールを目指す新人たちの奮闘を描く。フラのゆったりした動きと、南国の穏やかな音楽と、震災の苦しい記憶。一人ひとりの情熱のリレーが、笑顔あふれるステージに結実していく。なんと…

「モスル あるSWAT部隊の戦い」感想

モスル あるSWAT部隊の戦い、観た。長引くダーイッシュ(ISIS)との戦いで荒廃したモスル。主要キャラも容赦なく事故や急襲で死ぬ。どうしてこのボロボロの街でSWATは戦い続けるのか?この無意味な戦争はいつ終わるのか?そんな問いがぐるぐると頭の中を回っ…

「パーフェクト・ケア」感想

パーフェクト・ケア、観た。ひとり暮らしの高齢者を老人ホームに閉じ込め、資産を搾り取る「ビジネス」で財を成したマーラ。しかし、新たな「獲物」にはウラがあり…。詐欺師vsマフィア。どちらが勝っても最悪のバトルをたのしむ。途中から「もう二人とも勝手…

「彼女が好きなものは」感想

彼女が好きなものは、観た。BL好きの少女が告白した同級生には男の恋人がいて…。とても心動かされたんだけど、いざ感想を書こうとなると、彼らの物語を普遍的な何かに還元していいのだろうか、と葛藤してしまう。この世界を複雑なままに捉えるならば、ひとつ…

「怪盗ルパン」感想

怪盗ルパン、観た。ベル・エポックのフランスを舞台にした、ジャック・ベッケルによる犯罪活劇。ルパンのかなりざっくりした盗みはともかく、スクリーンを彩る調度品やドレス、ロベール・ラムルーの飄々としたセクシーさに惚れる。なによりラストカット!鳥…

「地獄が呼んでいる」感想

「地獄が呼んでいる」全六話、観た。ちょっと終盤失速したかな〜。理不尽な暴力を人びとが「神の力」と解釈し、世界が混沌としていく。その手触りは「DEATH NOTE」に近い。前半と後半の構成の分け方も「L編」と「ニア・メロ編」のようだった。個人的には「イ…

「ベイビーわるきゅーれ」感想

ベイビーわるきゅーれ、観た。面白かった。これだけ高水準のアクションをニッポンの見慣れた景色で見られるとは。特によくあるコンビニで生々しい殴り合いが展開される冒頭はすばらしい。正直、ギャグには乗り切れなかったのだけど、まひろとちさとは大好き…

「子供はわかってあげない」感想

子供はわかってあげない、観た。大傑作。ムリして泳ごうとすると溺れちゃう。まずは「死体ごっこ」で波に身を任せよう。終始そんな独特のフロウで進む美波の気ままな夏休み。しかし、上白石萌歌のコミカル=漫画的な所作と、豊川悦司の威圧的なオーラによっ…

「アイス・ロード」感想

アイス・ロード、観た。鉱山事故の救出装置を運ぶため、四人の凄腕ドライバーが危険な薄氷の上を突っ走る!「恐怖の報酬」を期待するとズッコケるが、それなりに楽しんだ。正直、トラック運転手たちの奮闘そのものよりも、あまりに執念深く仕事熱心なヴィラ…

「ラストナイト・イン・ソーホー」感想

ラストナイト・イン・ソーホー、観た。オンライン試写にて。ひとり暮らしの女の子が60年代ロンドンの夢を見るようになる。しかしそれが徐々に悪夢になって…。いやぁ、メチャクチャ面白かった。ロンドンという街が持つ妖しげな色気とアニャ・テイラー=ジョイ…

「マリグナント 狂暴な悪夢」感想

マリグナント 狂暴な悪夢、観た。素直にぎゃあ〜ってなった笑 ほぼ満席の映画館、あの瞬間はみんなで同じ感覚を共有していたと思う。本当に最悪な映像を最悪なままにお届けしてくれる。終盤に掛けては物語の加速と映像のテンションがかみ合って、恐怖と興奮…

「ミュジコフィリア」感想

ミュジコフィリア、観た。偉大な音楽家を父にもつ異母兄弟の物語。うーん、これは音楽映画なのか、ご当地映画なのか、それとも群像劇なのか。どの要素も面白くなりそうなのに、ぜんぶ中途半端で終わった。しかし「すくってごらん」のように人によってどハマ…