映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

2018-01-01から1年間の記事一覧

「響 -HIBIKI-」感想:自分の「限界」を知ること

こんにちは。じゅぺです。 今回は「響 -HIBIKI-」について。 「響 -HIBIKI-」は、これが映画初出演となる欅坂46のセンター・平手友梨奈を主演に迎え、人気漫画「響 小説家になる方法」を実写化した作品です。監督は「君の膵臓をたべたい」「センセイ君主」の…

「18倫」感想:AV業界で働くお嬢さまの奮闘記

こんにちは。じゅぺです。 今回は「18倫」について。 「18倫」は城定秀夫監督によるV シネマです。僕はあまりこの手のジャンルには手を出してこなかったのですが、Gyaoの無料配信で城定秀夫監督の特集が組まれており、ちょうど今月号の映画秘宝でもクロ…

「たまこラブストーリー」感想:アニメーションの限界を突破する「脚」の表情

こんにちは。じゅぺです。 今回は「たまこラブストーリー」について。 「たまこラブストーリー」は山田尚子監督による長編アニメーション映画です。ふたりの幼なじみが、互いに惹かれあいながらも、あと一歩を踏み出せずに逡巡する様をみずみずしく描きます…

「ファニーとアレクサンデル」感想:家族の崩壊と再生に触れる濃密な5時間

こんにちは。じゅぺです。 今回は「ファニーとアレクサンデル」について。 「ファニーとアレクサンデル」は、イングマール・ベルイマン監督の作品です。ベルイマンの作品は「夏の遊び」と「野いちご」を見ました。どちらも素晴らしい作品でした。当ブログで…

「音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!」感想:声を上げればなにかと叩かれがちなこのご時世に

こんにちは。じゅぺです。 今回は「音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!」について。 「音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!」は、三木聡監督による音楽コメディです。主演は阿部サダヲと吉岡里帆。作品のテイス…

「バーバラと心の巨人」感想:なぜバーバラは「巨人」を見るのか?

こんにちは。じゅぺです。 今回は「バーバラと心の巨人」について。 「バーバラと心の巨人」は、アメリカのグラフィック・ノベル「I KILL GIANT」が原作の青春ファンタジー映画です。 本作の主人公・バーバラは、一風変わった儀式に傾倒し、周囲から心配の目…

「男はつらいよ 寅次郎夢枕」感想:寅さんの幸せってなんだろう

こんにちは。じゅぺです。 今回は「男はつらいよ 寅次郎夢枕」について。 「男はつらいよ 寅次郎夢枕」は「男はつらいよ」シリーズ第10作目です。 今回のマドンナは八千草薫です。若いですねえ。バツイチの美容師・千代という設定。ちょっぴり漂うくたびれ…

「ひまわり」感想:美しく輝くひまわりに込められた意味

こんにちは。じゅぺです。 今回は「ひまわり」について。 「ひまわり」は、ヴィットリオ・デ・シーカ監督の描く戦争で引き裂かれた夫婦の物語です。 デ・シーカ監督の作品は「自転車泥棒」と「ウンベルト・D」を見ました。どちらも貧しさや孤独にあえぎ、生…

「実録外伝 大阪電撃作戦」感想:すべてを物語る松形弘樹の「目」

こんにちは。じゅぺです。 今回は「実録外伝 大阪電撃作戦」について。 「実録外伝 大阪電撃作戦」はじっさいに山口組が大阪で起こした抗争・明友会事件をもとに作られたヤクザ映画です。いわゆる「東映ヤクザ映画」ですね。以前から気になってはいたのです…

「霧の波止場」感想:負け犬が見た夢

こんにちは。じゅぺです。 今回は「霧の波止場」について。 「霧の波止場」は1949年公開のフランス映画です。監督はマルセル・カルネ。 なにもかも嫌になっていた脱走兵のジャンが、逃走先の港街で美しい少女・ネリーと出会い、人生のよろこびを知り、生…

「40歳の童貞男」感想:これぞジャド・アパトーのコメディ

こんにちは。じゅぺです。 今回は「40歳の童貞男」について。 「40歳の童貞男」はスティーブ・カレル主演、ジャド・アパトー監督のコメディ映画です。家電量販店で働く冴えない中年男・アンディが主人公。変化のない平凡な毎日に満足していたアンディで…

「用心棒」感想:三船のチャンバラに惚れる

こんにちは。じゅぺです。 今回は「用心棒」です。 黒澤明は「七人の侍」「羅生門」「椿三十郎」「隠し砦の三悪人」「生きる」あたりは見ました。「どですかでん」はつまらなくて途中でやめてしまいましたが。どれも出てくる人間の欲深さやその愚かさを身近…

「クレイジー・リッチ!」感想:綺麗ごとだけでは終わらない「結婚」と「多文化共生」

こんにちは。じゅぺです。 今回は「クレイジー・リッチ!」について。 「クレイジー・リッチ!」は、苦労して大学教授にまで上り詰めた主人公・レイチェルが、シンガポール1の大富豪の息子・ニックの恋人として彼の実家にあいさつに行き、なにかと敵意むき…

「娘・妻・母」感想:女だけに見える歪で屈折した世界

こんにちは。じゅぺです。 今回は「娘・妻・母」について。 「娘・妻・母」は成瀬巳喜男監督の作品です。主演は原節子と高峰秀子。宝田明や草笛光子、仲代達矢など、そのほかのキャストも非常に豪華です。公開当時大ヒットしたというのも納得です。 本作は夫…

「ザ・プレデター」感想:懐かしの80年代感ただよう娯楽作

こんにちは。じゅぺです。 今回は「ザ・プレデター」について。 僕は「プレデター」シリーズは第1作の「プレデター」しか見ておらず、それほど熱心なプレデターファンでもありません。しかし、いまどきのハリウッド映画にしては珍しく、悪趣味な人体破壊描…

「クワイエット・プレイス」感想:良くも悪くも一点突破のワンシチュエーション映画

こんにちは。じゅぺです。 今回は「クワイエット・プレイス」について。 「クワイエット・プレイス」は、静寂に支配された人類滅亡後の世界を描くホラー映画です。「音を立てたら即死」というキャッチーな宣伝文句の通り、この世界では音に過剰に反応する盲…

「あと1センチの恋」感想:希望と不安と失望の間で揺れ続ける恋心

こんにちは。じゅぺです。 今回は「あと1センチの恋」について。 「あと1センチの恋」はリリー・コリンズ主演の恋愛映画です。彼女はふとめのナチュラルな眉毛がとってもキュートで、大好きな女優さんです。フィルモグラフィを見ると、意外とそんなにたく…

「愛しのアイリーン」感想:愛は交錯しない

こんにちは。じゅぺです。 今回は「愛しのアイリーン」について。 「愛しのアイリーン」は「ヒメアノ~ル」の吉田恵輔監督の最新作です。前作「ヒメアノ~ル」は大変素晴らしい作品でしたね。V6森田による森田くん(ややこしい)の狂気が凄まじく、度肝を抜…

「寝ても覚めても」感想:朝子の秘密がもたらす緊張感

こんにちは。じゅぺです。 今回は「寝ても覚めても」について。 「寝ても覚めても」は、濱口竜介監督の商業映画デビュー作です。先日レビューした彼の出世作「ハッピーアワー」がとんでもない傑作だったので、相当期待して見に行きましたが、上がりまくって…

「バッド・ジーニアス 危険な天才たち」感想:犯罪映画の枠で描く「カンニング」

こんにちは。じゅぺです。 今回は「バッド・ジーニアス 危険な天才たち」について。 「バッド・ジーニアス 危険な天才たち」は、中国で実際にあった時間をモデルに、高校生による組織的カンニングを描くタイの青春映画です。 カンニングがテーマの映画とはな…

「クリーピー 偽りの隣人」感想:逃げることのできない焦りと絶望

こんにちは。じゅぺです。 今回は「クリーピー 偽りの隣人」について。 「クリーピー 偽りの隣人」は2016年公開のホラー映画です。監督は「CURE」の黒沢清。 彼の作品は去年「散歩する侵略者」を劇場で見ました。じわじわと日常が侵食され、気付いたとき…

「若おかみは小学生!」感想:誰かのために頑張れるということ

こんにちは。じゅぺです。 今回は僕的に2018年ベストに入れたい一本「若おかみは小学生!」について。 「若おかみは小学生!」は青い鳥文庫の人気シリーズの劇場アニメ映画化作品です。ちょうど小学生の頃にこのシリーズにふれた方もたくさんいらっしゃ…

「ヤンキー・ドゥードゥル・ダンディ」感想:アメリカの輝かしい歴史に隠れた暴力性

こんにちは。じゅぺです。 今回は「ヤンキー・ドゥードゥル・ダンディ」について。 「ヤンキー・ドゥードゥル・ダンディ」は"ブロードウェイの父"ジョージ・M・コーハンの伝記映画です。彼は軍歌や国威発揚ミュージカルで名を馳せた自分であり、彼の成功はナ…

「銀魂2 掟は破るためにこそある」感想:ギャグとストーリーが分離した紙芝居

こんにちは。じゅぺです。 今回は「銀魂2 掟は破るためにこそある」について。 「銀魂」は(言わずもがなですが)ジャンプで連載されていた大人気コミックです。つい先日、完結?したそうですが、辞める辞める詐欺な感じもしており、今後の展開は謎です。僕…

「プーと大人になった僕」感想:クリストファー・ロビンとプーさんの間にだけ流れる特別な時間

こんにちは。じゅぺです。 今回は「プーと大人になった僕」について。 「プーと大人になった僕」は、「くまのプーさん」のその後、大人になったクリストファー・ロビンとプーさんたちの再会を描くヒューマンドラマです。 僕は、あまり「くまのプーさん」の原…

「MEG ザ・モンスター」感想:ステイサムと幼女の組み合わせ

こんにちは。じゅぺです。 今回は「MEG ザ・モンスター」について。 「MEG ザ・モンスター」はジェイソン・ステイサム主演のパニック映画です。 スティーブン・スピルバーグ監督「ジョーズ」やアサイラムの「シャークネード」シリーズなど、いまも昔もサメ映…

「判決、ふたつの希望」感想:過ちを認める勇気

こんにちは。じゅぺです。 今回は「判決、ふたつの希望」について。 「判決、ふたつの希望」は、ほんの小さな近所のいざこざが国中を巻き込んだ民族紛争に発展してしまうさまを描く作品です。アカデミー外国語映画賞にノミネートされるなど、評価も高く、非…

「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」感想:魔法なんていらない

こんにちは。じゅぺです。 今回は「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」について。 「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」は押見修造による同名漫画の実写化作品です。とてもすばらしい作品でした。鑑賞して1日経ってもいまだに志乃ちゃんのことが頭の中をぐ…

「SUNNY 強い気持ち・強い愛」感想:あの頃私たちは世界の中心だった

こんにちは。じゅぺです。 今回は「SUNNY 強い気持ち・強い愛」について。 「SUNNY 強い気持ち・強い愛」は、韓国映画「サニー 永遠の仲間たち」を監督・大根仁、音楽・小室哲哉のタッグでリメイクした作品です。原作「サニー」は、光州事件を中心に、80年…

「丹下左膳餘話 百萬兩の壺」:夭折の天才の大傑作

こんにちは。じゅぺです。 今回は「丹下左膳餘話 百萬兩の壺」について。 「丹下左膳餘話 百萬兩の壺」は1935年に公開の人情喜劇です。監督は山中貞雄。日中戦争に派兵されて遠い海の向こうで病死してしまった夭折の天才監督です。全編現存するのわずか…